農業や林業は、単なる経済活動ではなく、国土保全や地球環境保護、地域文化を担う基盤など、様々な機能を果たしており、その再生を図ることが重要です。
特に先進国の中で最低である日本の食糧自給率の向上を図ることは最重要課題であり、農業基盤整備を図るとともに、農産物に付加価値をつけるアグリビジネスの推進などを通じた農家所得の向上、需要に対応した転作の支援などをすすめます。また、安心できる食糧供給の担い手としての農業の価値を高めるため、地産地消運動を進め、国内産農産物のブランド力を高めていくことが重要であると考えます。
農産物貿易の面では、輸出国の経済的な利益追求のための安易な関税引き下げに同意することはできません。今後の世界的な食糧需給を考えれば、わが国は、食糧を輸入に頼るのではなく、できるだけ食糧自給率を高めることが必要です。今後、農業のための水資源の不足も予想される中、農産物を輸入することは、他国の水を奪うことにもなります。また、開発途上国が農産物輸出のために森林伐採や焼畑による過度の農地の拡大を行えば、地球環境の悪化を招く点にも留意する必要があります。
また、森林が地球環境保全に果たす様々な役割はいうまでもありません。森林を保全していくためにも、林業を再生させることが必要です。公共施設などへの国産材の利用により消費の拡大を図るほか、バイオマスエネルギーとしての利用について研究をすすめる等、その有効活用の道を探ることが必要です。また、水源税や環境税を財源とする森林交付税の仕組みを検討するなど、国民皆が森林保全のコストを負担しあう仕組みづくりを通じて、林業を再生し、森林を守るための努力をしていきたいと考えています。